今年度は、道路施策整備の重要度の評価、将来における生活道路のあるべき姿について、住民の総合的な評価を行うためのプロセスについて検討した。住民の道路整備による生活環境への影響評価は、個々の生活環境因子においては、それぞれの因子を独立に評価するが、総合的な評価に関しては、それらの相乗的あるいは相殺的な評価がみられる。すなわち、一般に環境評価は、部分がよくても、全体がそれほどではない、あるいは、部分が悪くても全体がよくなっているといった様相を示すことが非常に多い。この場合のそれぞれの結合は、統計的解析によって、主として線形的に扱うことが一般的であるが、パラメトリックな扱いは、その意味を説明することが十分にできない。したがって、ここでは、それらの結合を、単調性のみによって得るファジィ測度によって計測し、チョーケー積分によってファジィ評価した。これによって、個々の因子評価の結合によって、ここでは相乗的な総合評価が再現され、主観的評価のプロセスが、不都合なく得られることがわかった。具体的には、過疎市町村へのアクセス改善のためのトンネル建設によって得られる評価を、単に、経済性や、近接性のみではなく、広範な生活環境項目の評価によって表す方法を開発した。これを利用することによって、過疎市町村における道路整備効果について、より細かな評価が可能となり、また、将来の整備の目標についても検討することが可能となった。
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