研究概要 |
平成3年度はネットワ-ク講造をもつ一般的な施設を念頭におき,ネットワ-クの外部効果に関する理論的な研究を行った。その結果得られた主要な知見を整理すると以下のようである. ・全ての生産物が完全な互換性を持つならば,ネットワ-ク競争問題は唯一解をもつ. ・全ての生産物が互いに互換性がない場合でも唯一解をもネットワ-ク競争問題は存在する. ・互換性のある生産物を産出する2つの企業グル-プが存在し,企業グル-プAの生産量はグル-プBのそれよりも小さいものとする.このとき,(a)提携はグル-プAの産出量を必ず増大させる.(b)提携に加らないグル-プの産出量は減少する.(c)提携グル-プの総産出量は増加する.(d)提携に加らないグル-プは政府の補助金がない場合破産する可能性がある. ・互換性を達成するためのコストが移転不可能な固定費用ならば,企業の利潤を増加させるような安全互換性の達成は社会的にみても便益が大きい. 以上の結果においてキ-ワ-ドになっているのは「互換性」という概念である。交通施設を例にとれば,私鉄とJR各線のレ-ルの互換性,駅舎の総合化に伴う乗換地点の互換性などがある.上の結論が示すことは,交通施設のような移転不可能な固定施設に互換性を持たすことは,交通企業の生産費用を減少させ利潤の増加につながるだけでなく,利用者側を含めた社会的便益をも増加させることを意味している。
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