本研究では、ブルーギルおよびシロギスの鰓蓋運動(呼吸回数、平均振幅、最大振幅)を指標にして毒性試験をする場合の解析方法と、Cdおよびクロロプロピレートへの応答感度に関して検討した。 また、LC_<50>値以下の濃度で長時間暴露したときの亜急性的毒性の発現と、評価指標への応答の現れ方について検討した。 結果を要約すると以下の通りとなる。 1、魚類の鰓蓋運動の経時変化は、傾向変動および/または周期変動を示す。 2.有害物質への応答を検出する方法として、元時系列データから、傾向変動成分および周期変動成分を除去してのち正常活性変動範囲(±3σ)を設定し、暴露時との差分を応答とすることにしたが、有害物質への応答性をほぼ確実に検出できることが明らかになった。 3、シロギスのCdへの応答は、30分間暴露の時、供試魚の約50%がCd濃度0.01mg/lで応答し、5mg/l程度以上になると大多数のシロギスがほぼ応答するものと考えられた。 4、応答感度から考えれば、その順位は呼吸回数>平均振幅>最大振幅となるように思われ、ブルーギルで認められた傾向と軌を一にするものであった。 5、ブルーギルに対し、クロロプロピレートをLC_<50>値以下の濃度(0.66 0.32mg/l)で長時間暴露したとき、水中濃度変動に応じた評価指標への応答が現れるが、徐々にその応答が大きくなる事が認められ、亜急性的毒性の発現とその程度が監視できるものと考えられた。
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