1.北海道(9)、東北(26)、関東(3)、北陸(6)、近畿(4)、九州(15)の海岸付近に建つ複層仕上塗材(一部屋根用塗膜防水材)で仕上げした計63の建造物(種類別では官庁建物9、住宅・都市整備公団建物15、JR駅舎14、燈台11、その他の民間建物14)について、仕上材の劣化の状況について調査を行い、劣化に影響する要因と劣化量の関係について検討した。その結果(1)海岸からの距離が近いほど劣化していて、特に300m以内では劣化が著してものがある。(2)海に面した面はその他の面に比べて劣化が進んでいる。(3)年数の経過ととも劣化量が増えていて、8年を経過した頃からチェッキングが、また12年程度を過ぎると剥離、剥落を生じている。(4)気象条件と劣化量の間には明確な相関関係は認められないが、最低温度が低いほど、年間日照時間が長いほど、風速が速いほど、やや劣化量が増える傾向にある。等の点が考察できた。 2.被り厚さが2、3、4、5、7cmになる様に鉄筋(一部エポキシ鉄筋を含む)を配置した。直径14cm高さ12.5cmの円柱コンクリ-ト試験体の表面を17種類の仕上材(複層仕上塗材13、薄付け仕上塗材2、屋根用防水塗膜材2)で仕上げしたもの、および無仕上げのもの各体ずつ計100本を作製し、ウェザ-メ-タ-2日、0.5%硫酸溶液2日、超低温恒温恒湿槽2日、3%塩水溶液2日の計8日を1サイクルとした劣化促進塩水浸漬試験を行い、仕上材の劣化量と塩分の浸漬速度および鉄筋の腐食速度との関係について検討を行った。仕上材の劣化の状況は、現在(15サイクル経過)の時点では、完全に塗膜が剥落したものが1種類、トップコ-ト等の剥離を生じたものが2種類、チェッキングを生じたものが8種類、その他は変色が認められる程度である。またコンクリ-ト中の鉄筋はまだ腐食していない。
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