1.鉄筋構造の露出型柱脚において、アンカーボルトにPC鋼棒を用い、これに高い緊張力を導入した場合の力学的性状を、実験及び解析的に調査し、次の諸量を定量化することを目的とする。 (1)ベースプレートがコンクリート基礎ばりと全面接触でなくなるモーメント(以後、開口モーメントと呼ぶ)、(2)柱脚部の耐力、(3)柱脚部剛性、(4)柱脚部の復元力特性 2.試験体は鋼柱として□-200×200×9を用い、ベースプレートは400×400mmで厚さは25mmとし、井形にリブ補強したものを用いた。リブ厚さは12mmとし、リブ高さは75と100mmの2種類である。アンカーボルトは4-φ23-6‐φ19の2種類とた。 3.平成3年度及び平成4年度の実験及び解析から得られた知見は以下の通りである。 (1)開口モーメントを与える評価式を得た。本評価式は2次元の半無限弾性体に作用する剛体パンチの理論解を拡張し、これに係数を乗じたものとして表せる。この係数はベースプレートの剛性に依存し、本研究では、これを実験式して与えた。 (2)柱脚の剛性は開口モーメントまでの剛性と開口モーメント以降の剛性が異なる。前者は主として基礎ばりコンクリートの局部変形に依存し、後者はベースプレートの変形に依存する。従って、後者の場合はアンカーボルトの本数やその配置に影響される。本研究では両剛性に対しアンカーボルトが4本と6本の場合の柱脚の剛性値を与える評価式を得た。 (3)柱脚部の復元力特性の形態を開口モーメント、柱脚部の剛性を用いて予測する作図法を得た。 (4)柱脚部の耐力、特にリブ補強された場合のベースプレートの耐力の評価法を確立する必要がある。
|