RC部材での高強度鉄筋の使用に関連して、脆性的な破壊である付着破壊が問題となる。横補強筋が主筋を拘束して、この付着劣化を防ぐ効果が指摘されてきているが明確な結果は出ていない。また、二段配筋された部材の付着性状も未だ十分解明されておらず、前年度報告した実験ではほとんどの試験体が明瞭な付着破壊を起こさなかった。本年度の研究は、主筋拘束に効果が有ると考えられている中子筋を含む横補強筋による拘束効果と付着割裂強度の関係、二段配筋における外側主筋引張力が内側主筋の付着強度に及ぼす影響、二段配筋における横補強筋が内側主筋の付着性状に及ぼす影響を解明することを目的に行った。 試験体は前年度と同様の梁の一部を模したキャンティレバー型とし、11シリーズ34体を計画し実験を行った。本年度は付着破壊以外の破壊が生じないように特に留意し、工夫して試験体の製作に当った。 破壊は4体を除き全て付着割裂破壊となり、初期の検討を行うための以下の知見が得られた.1)U字筋により人工的に引き上げ力を与えた場合は通常の横補強筋より最大耐力時の滑り量が小さい。2)二段配筋において、内側主筋に横補強筋を掛けることは靭性確保に効果がある。3)一段配筋した試験体において、横補強筋による強度増分は指針式を上回り特に中子筋を用いた場合、その傾向は顕著であった。4)隅主筋の横補強筋による強度増分は中主筋の拘束の程度により大きく影響される。5)横補強筋に引き上げ力を与えた場合、Pw Jwt.maxの増加に伴い付着強度は比例的に上昇する。6)二段配筋した場合、内側主筋の付着強度は外側主筋加力、内側・外側横補強筋により影響を受ける。
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