天空放射輝度分布の実態を解明することができれば、それをもとにして天空日射のモデルを構成することは比較的に容易である。従って、本研究においては、天空放射輝度分布の実態解明を最大の目的としている。天空放射輝度分布の実態解明のためには、太陽高度と天気がさまざまに異なる場合の天空の放射輝度分布を測定し、そのデータを蓄積することが第一段階となる。そこで昨年度は、天空放射度分布のデータを迅速に収録する目的で『天空放射輝度分布データ収録装置』を試作し、実用の目処がたったので、本年度はそれを使用してデータ収集の作業を本格的に実施する予定であった。ところが本年度に入って実際に作業を続けてみると、昨年度もひそかに懸念していたこの装置の欠点が目立つようになってきたので、装置の改良が必要となった。昨年度試作したデータ収録装置は、肝心の放射輝度検出部の組み立て作業を殆ど総て自前で行ったので、組み立て技術の未熟や使用部品の選択のまずさもあって、重くて扱いにくく、また、受感部の架設がやや安定性に欠けるものとなってしまった。本年度はこの欠点を除去するとともに、受光素子を可感波長帯域が昨年度のものよりも広いものに取り替えた。その結果、昨年度の試作装置よりも取り扱いが便利となり、測定精度も向上していると思われる。 晴天時並びに曇天時の天空放射輝度分布モデルに関しては、本年度並びに過去に収集したデータを検討した結果、当初の目論見の通りかなり確信の持てるものを構成することができた。快晴でも曇天でもない中間的な天気のときの天空放射輝度分布のモデルに関しては、快晴時と類似のモデルを構成するのがよいと思われるが、数式による詳細な表示法についてはなお検討中である。
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