本研究は、住居系の地域に、大規模高層建築物が計画されることによって、周辺の住民に圧迫感を及ぼすとき、その影響評価と、圧迫感の受忍限度値を求めたものである。既に、住宅地に建つ中高層建築物が及ぼす圧迫感については、その影響と受忍限度値を求めている。今回は、住居地域、準工業地域などの中の住居系の地域に於て、大規模で高層の建築物を対象として行ったものである。 実験の結果を総合して、圧迫感を計測する物理量として「形態率」を採用し、これによって2種のレベルの限界値を算出した。レベル1は、総合設計制度による建築を認定するときの限界値として設定するもので、住居系地域においてはこの値を越えることは避けるべきものである。この受忍限度値は、形態率6%とし、当該建築物までの水平距離50〜120mの範囲内で適用する。また、レベル2は、総合的、都市行政的にも全く好ましくない状態であるが、もし、圧迫感を、罰則規定の付く法令として規定する場合の、最低限界値として定めるもので、良好な環境を保つべき総合設計制度の適用を受けるようなときに用いるものではない。この形態率は13%である。 なお、当該建築物までの距離が、20m〜40mまでの位置での影響評価は、大規模建築物の場合、形態率を4%以内に納めたものをレベル1の受忍限度とし、8%をレベル2の限度値とするのが適当である。
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