室内光環境の質を損なうことなく、窓を透過した昼光を室内の照明に利用できるようにするためには、窓面から得られる昼光がグレア感(まぶしさ感)や明るさ感にどのような影響を及ぼすかを明らかにしておく必要がある。本研究は、窓面を透過した昼光による在室者のグレア感を取り上げ、あるグレア感に対してそれを不満とする在室者の割合はどれほどか、また、グレア感が各種光学的物理量とどのような関係にあるかについて検討を行なったものである。輝度可変の模擬窓を有する光環境実験室において、窓面輝度5種類、窓の大きさ5種類、壁面の反射率2種類、被験者の着席位置2種類の合計100条件のそれぞれに対して、被験者10人ずつ(延べ被験者数1000人)を用いて実験を行なった。その結果、グレア感スケ-ルと不満足者率はロジットモデルでよく近似でき、グレア感スケ-ル2(グレアを不快と感じ始める)に対して不満足者率60%、グレア感スケ-ル1(グレアが気になり始める)に対して不満足者率25%であることがわかった。グレア感は、一般に、光源の輝度、光源の立体角の対数に比例し、背景輝度の対数に対しては反比例すると言われてきたが、本研究における実験結果の、グレア感と光学物理量との関係を表わす一般式への当て嵌めを試みたところ、背景輝度の対数に係わる係数が窓面立体角の関数となり、窓面立体角が大きくなると背景輝度の影響は小さくなることがわかった。これは、窓のような大きな光源の場合、光源がある大きさを越えると、光源から目に入る光の総量が問題となることを示唆していると考える。
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