最終年度(平成4年)には、地方都市の地区住環境形成のあり方を主に公的集合住宅団地との関係から捉え、地方都市既成市街地における地区住環境形成のシステム化の可能性を論じた。 1)地方都市既成市街地の住環境整備課題の類型的把握を行い、自律型地区の住環境整備内容と更新の大枠を下記の9タイプに整理した。((1)用途混在地区基盤強度改善型、(2)中層化進行地区再編型、(3)中層市街地基盤整備型、(4)用途混在地区再編型、(5)集住地区再編型、(6)戸建住宅地区再編型、(7)戸建住宅地区基盤整備型、(8)計画的住宅地区再編型、(9)新住宅地区開発型) 2)公的集団住宅地区の建替え動向の整理から、 (1)新たな動向としては、(1)地区コミュニティの形成、(2)地区再編の種地化、(3)地区の生活拠点形成が捉えられ、 (2)今後の課題としては、(1)積雪寒冷地としての対応(特に共用空間の屋内化)、(2)若年層の定住化と市街地中心部の再生、(3)共用空間・公共施設の整備と複合化、などが整理できた。 3)以上の考察を中心として、「インフィル型住環境整備」を提案し、市街地全体の住環境形成のシステム化の可能性を、(a)整備の空間的な広がりとその内容、(b)事業制度の複合化、(c)計画主体、の3視点から論考し、今後の地区の住環境の自律的整備の方法を「エキスパンション型地区住環境形成論」としてまとめた。
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