1.千葉県内3都市(柏・八千代・銚子)を対象に本調査を行い、それぞれの校歌に謳われた地域景観の構造把握と、都市化の進展に伴う景観イメージの時代的変遷に追跡を行なった。この内、八千代の分析結果は日本建築学会大会において報告し、全体の成果を千葉大学工学部報告に発表した(印刷中)。 2.全国11都市(函館・八戸・秋田・前橋・清水・富山・奈良・松江・倉敷・松山・鹿児島)を対象に、小学校校歌の調査分析を行い、校歌に謳われた景観像の都市比較的分析と、それに基づく地域景観特性の類型的把握を行った。 3.校歌は、一般に、制定された当時の地域の景観を反映しているため、急速に都市化が進んでいる地域では、校歌に謳われた景観と現実の景観との間にギャップが生じている。このため、校歌の制定年代による景観要素の変化を分析することによって、都市化が地域の景観に及ぼした変容の一端を把握し得ることが明らかにされた。 4.多くの都市で、校歌に謳われた景観要素の上位を占めているのは、山・海・川・丘である。この4要素の出現率に注目することによって、都市の立地に基づく地域性を反映した景観像の類型化を行うことができる。また、この4要素以外に、都市のアイデンティティに関わる要素に着目した類型化についても可能性が明らかにされた。
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