研究概要 |
調査対象とした横浜市市街地環境設計制度の制度の変遷と特色に関しては、横浜の制度が総合設計制度の基本事項に加えて、独自に改訂を行なっているがその中でも昭和60年に行なわれた3度目の改訂において「自然的緑地の保全」「歴史建築物など特定建築物の保存や充実」の2項目を公開空地と同等に評価し加えたことで、従来にない多様な公共空間を生みだす可能性が認められた。また、制度の適用状況では、敷地規模に応じて、容積緩和、高さ緩和を組み合わせて利用する傾向と、5000M以上の規模になると容積を求めるよりは高さの緩和を目的にしている傾向があることなどを指摘した。 つぎに公開空地の形態から、歩道状、通り抜け、一般空地のそれぞれは、その取られ方も敷地面積によって自然に決定されてしまうこと、空地の取られ方も敷地形状に限定され予測していた以上に単調なものが多くを占めることを示した。この問題として制度の基準が利用者の行動を視点に持っていないためであることを指摘した。さらに事例のうち住居系と事務所ビル系は本来の空地の使われ方が違うのに対して、同じ算定基準が用いられるため、本来の目的である公開性に欠ける空地が住居系に多くみられた。 つぎに、公開空地の使われ方の現地調査を昼間,夜間とすべての事例に関して行ない,歩行者のための公開空地が様々な違反によって損なわれている状況を示した。そのなかでも特に、違反駐車、障害物設置に関して数量化2類による原因分析を行ない、物理的な状況がどのような違反を誘発するか、その関係を明らかにし、それに応じた公開空地の簡単な改善によって快適な歩行者空間を確保できる事例を提案した。 一方で、空地の連続性に関しての現状調査とその有効性について考察、連続すると違反駐車等の障害が減少することを示した。
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