研究概要 |
我々は自分の頭の中に描いたある種の概念図形を利用して、実際には見ることのできない巨大な都市空間を理解している。本研究では、各地点の地理的な位置関係を認識する際,どのような概念図形を用いて理解しているのか,また,それはどのような変形を受けているのかを明らかにすることを目的としている。 既に,イメ-ジマップを用いた調査により,東京の山手線が実際の形状よりも円に近い形状としてイメ-ジされていることを明らかにしている。本年度は,この結果をうけて,同じ環状構造を有する大阪環状線について同様の分析を行った。結果は以下に示すとおりである。 1.大阪在住の被験者を対象にイメ-ジマップによる調査を実施し,大阪環状線をどのような概念図形のもとで理解しているのかを調べた。その結果,大阪環状線はほぼ円に近い円環状の形態として,また,内部を縦断する御堂筋線は直線に近い形態として,非常に単純化した概念図形のもとに理解されていることが判明した。 2.真円度(円の形状にどれ程近いかを表す指標)を定義し,実際の形態とイメ-ジ上の路線形態とを比較検討したところ,各被験者のイメ-ジは実際の形態よりも円に近い形態であることが判明した。 3.居住歴の長い人ほどイメ-ジ変形は小さいと予想されたが,イメ-ジ変形の程度と居住歴との相関性を調べた結果,両者間には相関は認められなかった。
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