研究計画の初年度にあたる本年は、以下のような計画のもとに行われた。 (1)皇族(11家)・華族(約930家)の本邸および別邸の所在地を明らかにし、地域的分布の状況を調査する。 (2)大学・公共図書館・公文書館・宮内庁書陵部等において、可能な限り上記邸宅の建築設計図面及び関係図書を収集し、必要に応じてマイクロ複写・コピ-化を行う。 (3)遺族調査を行い、ヒアリング及び史料の収集を行う。 (4)現地調査を行い、必要に応じて現存物件の実測調査を行う。 (5)以上の調査に基づいて史料批判を行い、皇族・華族邸宅の特徴を抽出し、典型例について事例研究を行う。 次に、研究実績の概要について述べる。 (1)地籍地図・地籍台帳をもとに、現在作成中。 (2)旧大名家である徳川・前田・細川の各家について、それぞれ東京大学南葵文庫・前田育徳会尊経閣文庫・永青文庫所蔵の関係史料の閲覧・複写を継続中。 さらに、旧財閥家の三井・岩崎・住友の各家についても、三井文庫・三菱地所・三菱総研・住友修史室において関係史料の閲覧・複写を行っている。 (3)細川護貞(肥後細川)・徳川義知(尾張徳川)・渡辺昭(千秋侯爵遺族)・田中光季(光顕遺族)・後藤健蔵(新平遺族)・池田徳真(因幡鳥取)・島津忠秀(薩摩鹿児島)に対するインタビュ-を行った。 (4)旧細川護立侯爵邸(文京区)・旧前田利為侯爵邸(目黒区)・旧徳川義知侯爵邸(長野県に移築)・旧島津忠重侯爵邸(品川区)・旧小笠原長幹伯爵邸(新宿区)・旧久迩宮邸(渋谷区)の現地調査を継続中。 (5)(4)の各皇族・華族邸宅について分析・検討中。
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