研究概要 |
「研究計画調書」において立案した研究研画に基づき,調査研究を行った結果,以下のような実績をあげることができた。 1.主要な官立産業施設についての調査 明治19年(工部省廃省時)以前に政府が設立した主要な産業施設としてどのような施設があるかという調査を行った。対象とした政府機関は,会計官,民部省,大蔵省,工部省,内務省,農商務省,及び開拓使である。これ等各省が設立した産業施設は,有名な富岡製糸場を始めとして,数十箇所にも及ぶ。このような施設について,設立年代,設立目的,事業内容,設立後の経緯について調査を行ない,分類し,系統化を行った。 2.官立産業建造物に関する現存確認の調査 上記1.で明らかになった,官立産業施設の内,重要と考えられる施設について遺構調査を行った。現地にて調査を行ったものは,工部省ー佐渡鉱山,高島炭鉱,島根銅山,大蔵省ー富岡製糸場,農商務省ー神戸オリ-ブ園,などである。この調査によって,現在いかなる施設が残っているかが明らかとなった。また,併せて図面,文献資料の調査も行った。 3.現存する官立産業建造物リストの作製 以上の調査・研究によって明らかになった、現存官立産業建造物のリストを作製した。このリストには,所在地,建設年,設計者,施工者構造などが含まれている。これによって,明治初期(一部幕末も含む)いかなる施設が造られ,それはどのような技術者によって造られていたのかが,ほぼ明らかになった。
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