研究概要 |
頁岩の環境劣化機構を調べるため、浸水試験および湿潤環境試験を実施した。旧砂川炭鉱の-250L大坑道から,ほぼ直角に約5m堀進した引立面より,苦鍋層頁岩をブロック状で採取した。この頁岩を用い水分の影響に対する亀裂の発達過程をモニタするため,2種の実験を試みた。1つは縦、横約24mm,高さ約72mmの自然乾燥供試体で,42×42mmの面に蒸溜水を注入するため、直径約9mm,深さ36mmの円孔が存在し,その中に常に蒸溜水を満たしておき,水の浸透による亀裂の発達をモニタした。他は湿潤環境試験用で,供試体の寸法は縦約71mm,横約67mm,厚さ約17mmの板状自然乾燥試料であり,これを環境温度湿度を制御できるチャンバ-内にセットし,温度,湿度を繰り返し変化させ、それに伴なう亀裂の発展プロセスをモニタした。AE計測装置は両者とも同一であり,供試体で発生したAE信号は6つのセンサ-により受信され,プリおよびメインアンプで増幅した後,デジタルメモリ-に記録され,フロッピ-に波形が記録される。 実験結果によると,両者の場合いずれもAEの発生が観測された。浸水試験では,比較的周期性のあるAE発生挙動が得られ,発生箇所は水との接触部分から広がっていくことが認められた。一方湿潤環境試験では,環境を変化させた直後にAEの活動が活発になり,時間の経過とともに終息していく。さらにAEの発生箇所は亀裂の発生位置とほぼ一致し,成層方向に卓越する傾向が得られた。またこの場合のAEはほぼ引張型の亀裂に起因しているものと考えられる。
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