チタニウムアルコキシドと水酸化バリウム水溶液の混合による加水分解から超微細なチタン酸バリウムを製造し、これに界面活性剤を被覆してケロシンやアルキルナフタレン中で安定に分散する流体を得た。この流体をソーヤ・タワ回路を用いて観察するとわずかにヒステリシス曲線を示したが比誘電率は3〜3.5でありほぼ誘電流体とみなせる。 この流体に鉛直上方に電界が減少する電界勾配を作用させ、流体よりも低い比誘電率2.5を持つガラス球を配置すると電気的な浮場力が理論式から予測されるように生じた。 この流体に1kV/mm程度の電界を作用させると細長いチタン酸バリウムのクラスターが生じることが顕微鏡観察から明かとなった。電界の作用している方向と垂直に流動を与えると電界を作用させないときよりも粘度は増加し、ビンガム流体のような流動曲線を示した。 また、チタン酸バリウムの形状の変化としてウィスカー状のものは今年度はまだ作製できなかった。そこでチタン酸カリウムウィスカーにわずかに水分を付着させ絶縁油中に分散させて電界の作用による粘度変化を調査した。ウィスカーの針状構造上、みかけの沈降を防ぐことができ、電界方向にウィスカーが連なったクラスターを生じ、超微細な球場のチタン酸バリウムを分散させた誘電流体よりもより高い降伏応力を生じた。また、従来のエレクトロレオロジー流体との比較も行った。 さらに、チタン酸バリウムを分散させた誘電流体とマグネタイトを分散させた磁性流体の比較を行い、磁界中での磁性流体よりも電界中での誘電流体のほうが粘度上昇率が大きいことを、粒子の相互作用より考察した。また、磁性流体、誘電流体の混合による分散安定性を検討し、比較的良好に誘電体粒子、磁性体粒子が安定に分散できることが明かとなった。
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