一般に扱われている粉粒体の形状は様々であり、その分離法の多くは形状による摩擦力の違いを利用したものである。本研究においては、粉砕性の違いによる形状分離を試料に石英ガラス、石灰石を用い、粉体層の圧縮粉砕、ボールミルによる微粉砕、攪拌ミルによる自生粉砕を行い、粒子形状による粉砕性の差、粉砕による粒子形状の調整を行ない形状分離操作を組み入れた新しい粉砕プロセスの開発を行なった。粉砕実験は粒子径が5.66〜4.76mmの石英ガラスを用いての粉体層の圧縮粉砕、粒子径232〜174μmと174〜153μmの石英ガラスのボールミル粉砕、粒子径が20〜13、13〜10、10〜6.7mmの石灰石の攪拌ミルによる自生粉砕である。粒子形状の評価としては、(最長径/厚み)の形状指数、長短軸比、真円度である。その結果、以下の結論を得た。 1).粉体層の圧縮粉砕においては、粉体層に加える荷重の増加、すなわち、粉体層に加えたエネルギーの増加とともに未粉砕粒子の形状指数は小さくなり、立方体状、球状に近くなる。 2).ボールミル粉砕においては、粉砕時間の増加とともに未粉砕粒子の形状は、粗粒子微粒子においても立方体状、球状に近くなる。また、粉体層の圧縮粉砕に比べると、未粉砕粒子の形状は、形状指数において差はないが真円度についてはボールミル粉砕がすぐれていることがわかった。 3).攪拌ミルの自生粉砕においては、未粉砕粒子の形状指数は、粉砕エネルギーの増加とともに立方体状、球状に近づくが、この関係は、砕料質量、粒子径、翼回転速度を変えても変化しない。 4).以上のことから、砕料の粉砕性は砕料の粒子形状の影響を受けるので、粉砕プロセス中に形状分離操作を組み入れることにより、より有効な粉砕が行なえることがわかった。
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