研究課題/領域番号 |
03650518
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
江崎 哲郎 九州大学, 工学部, 教授 (40038609)
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研究分担者 |
相川 明 九州大学, 工学部, 助手 (40192827)
木村 強 国立環境研究所, 水土壌圏環境部, 主任研究員 (30161566)
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キーワード | 地盤環境 / 地下開発計画 / 地下開発による環境評価 / 地盤移動 / 地盤沈下 / 浅所陥没 / 構造物の損傷基準 |
研究概要 |
地下空間開発による環境を考えるには、地下開発が環境に与える影響の内容およびその伝播形態について明確にしておく必要がある。まず、地下の開発利用が周辺に及ぼす影響について、過去の事例をもとに、その因果関係、影響要素について検討した。ここでは、地下の開発利用による地盤環境問題の実例として、地下掘削に起因する地表陥没の数例を取りあげて、デ-タベ-スを構築し、時間と空間の各スケ-ルにおける被害の発生状況について整理、分析した。 つぎに、地下開発による環境の定義について検討した。すなわち、地下開発により生み出された空間内部を内部環境、その周囲にあって地下開発の影響の及ぶ範囲を外部環境と大別して、地下空間利用全般にわたる位置づけを行った。ここに外部環境は、(1)直接的に開発の影響を受ける地盤・地下水環境、(2)直接的影響を原因として、間接的に開発の影響を受ける自然環境、社会環境の2つに分けられる。このうち前者は工学的に評価可能であるが、後者は数量的に表現しにくく、評価方法が非常に困難である。 従来から行われている環境評価のほとんどは、直接的影響の評価のみに終わっているが、地下開発と環境との調和を達成するには、間接的に影響を受ける自然環境や社会環境を含めた上での影響の評価が必要である。そこで、外部環境の直接的環境と間接的環境の両者の関係をみるために、自然・社会環境の構成要素として地表構造物をとりあげ、直接的影響である地盤移動との関係を検討した。その結果、損傷要因には、構造物自体の特性によるものと外的要因によるものがあり、損傷の全貌を表す基準を設定しにくいこと、および、外的要因にも複数のものが作用していることが多く、地下開発と損傷とを一対一で対応させて評価できないことが明らかとなった。
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