超伝導材料、ファインセラミックスなどの開発に関連して、ミクロンあるいはサブミクロンオ-ダの粒径のそろった微粒子を工業的に大量に生産する技術の開発が強く望まれている。本研究では対象としてサイクロン式分級機はその軸線上に粒子供給装置として周辺噴流型のコアンダノズルを持つており、このノズルによって粒子は逆一に分散され、また凝集も防止される。一方サイクロン内部はサイクロン外周部から接線状に導入された空気によって旋回流れを生ずる。旋回流れに乗った固体微粒子の中でより小さい粒子は遠心力、重力、流動抵抗力の力関係から軸心部に乗り、軸心部に設けた吸引パイプで回収される。 今年度の実験ではまずコアンダノズルについて供給圧力と噴流量との関係を調べ、つづいて単一傾斜型熱線流速計を用いて内部の三次元流れ状態およびレイノズル応力を調べた。この結果からコアンダノズルの流量特性および強いコアンダ効果を示す流動状態を把握すると同時に、ノズルの分散効果が流れの強い乱れに関係することが明かとなった。なおパソコン、ステッピィングモ-タを用いて完全に自動化された単一傾斜型熱線による三次元流れ計測システムも今年度開発されたものである。 つづいてサイクロン内部の三次元流れ状態を同様に単一傾斜型熱線で詳細に計測し、コアンダノズルおよびサイクロン外周部からの流入流量、軸心部からの流出流量がサイクロン内部の流れ状態に及ぼす影響を調べた。他方計測された流れに乗る粒子の運動軌跡を数値解析によってシミュレ-トするプログラムを開発した。このシミュレ-ションによって望まれる回収粒径にふさわしい内部の流れ状態をパソコンによって見つけることが可能となった。
|