粉体をサイクロン分級機の軸心から入れる際に、粉体の供給装置および分散装置として、コアンダ効果を利用したノズルを使用する新しいタイプの分級機についてその性能を調べている。昨年度までに、コアンダノズル内部の流れ状態や、分級機内部の流れ状態を単一傾斜熱線流速計を用いて計測し、おおよその三次元の流れ状態を把握することが出来た。 本年度はこれに引きつづいて測定点を増やして更に詳細な計測を行なった。しかしこれら三次元流れの計測は測定点が多いことから時間がかかり、分級に最適な風量等の運転条件を見いだすには膨大な時間を要する。またサイクロンの最適形状を実験から調べるためには多大の製作費用と日時を必要とする。そこで今年度は、コアンダノズル、分級機ともに、三次元粘性流れとした数値解析による内部流動状態の把握に重点をおいて研究を進めてきた。いずれも内部構造が複雑なため計算格子の生成に苦労したが、一応の計算結果がでるようになった。しかし、まだ三次元計測結果との差が大きく、現在プログラムを改良している。計算にはワークステーションを利用している。一つの計算に数日を要しているが、精力的に研究を行っており、研究期間の最終年度である来年度中にはサイクロン分級機に対して汎用性のある数値解析プログラムを完成できると確信している。なお、サイクロン内部で三次元流れの気流に乗って動く、単体粒子の複雑な運動をシミュレートするプログラムについては今年度完成した。
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