研究概要 |
新しい超磁歪材料探索の観点からPuNi_3型結晶構造をとるRCo_3化合物に注目し、その結晶構造、超磁歪特性の希土類元素依存性を調べた。遷移金属元素置換効果の解明の観点からSmFe_2に注目し急冷薄帯試料作製を試みSm(FeーCo)_2急冷薄帯の磁歪特性を調べた。又実用的観点から重要な薄帯用動磁歪特性測定装置の製作を行った。以下その結果を示す。 (1)RCo_3化合物の超磁歪:RCo_3化合物(R=V,Pr,Sm,Gd,Tb,Dy)をア-ク溶解によって作成し、その磁化特性、超磁歪特性を測定した。室温での磁歪の値はR=Pr,Nd,Gd,Tb,Dyで各々ー25×10^<ー6>,ー155×10^<ー6>,ー65×10^<ー6>,760×10^<ー6>,80×10^<ー6>であった。またR=Tbの77Kでの値は2680×10^<ー6>に達し従来の代表的超磁歪材料であるTbFe_2と匹敵する超磁歪が観測された。 (2)Sm(FeーCo)_2超急冷薄帯の超磁歪:液体急冷法によってSm_xFe_<1ーx>合金を作製しx=0.27ー0.39の組成範囲でMgCu_2型ラ-ベス化合物が生成されることを確認し、次いでSm_<0.35>(Fe_uCo_<1ーu>)_<0.65>薄帯を作製した。磁歪はy≦0.4でー300〜ー500×10^<ー6>、y=0.5でー1100×10^<ー6>であり、その後yの増加と共に減少する。 (3)超磁歪薄帯用動磁歪特性測定装置の作製:動磁歪測定法として相互インダクタンス法を採用した。測定装置はバイアス磁場、交流励磁磁場からなる磁歪励起部、ネットワ-クアナライザ-を中心とした検出部及び自動制御、デ-タ解析用コンピュ-タ-で構成した。本装置は、厚さ20μm、幅1.5mm、長さ10cm、比透磁率50以上の単一薄帯試料の動磁歪測定ができ、その精度は5%以内であった。又反磁場の影響は薄帯の長さL、有効直径Dの寸法比L/Dが20以上で無視でき、その試料形状範囲での測定値は反磁場のないトロイダル試料と一致した。本装置を用いたNi、Ni_<75>Pd_<25>、Fe_<87>Al_<13>の磁気機械結合係数は各々、0.16、0.48、0.23であり従来の文献値と一致した。
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