研究概要 |
Bi_2Sr_2(Ca_<1ーX>Y_X)Cu_2O_<8+δ>置換系酸化物の結晶構造は謂わゆる'不整合'変調を受けた超格子の変調構造であるために、その結晶構造解析は困難を極める。最近、筆者らは[001]高分解能電子顕微鏡格子像上の周期的なコントラスト変調の解析により得られる変調構造に関する新しい知見はX線・中性子回折などでは得難いものであることを示した。そして、新しい実験結果を明示して、長周期変調構造モデルを提唱した(Phys.Rev.B43,(1991)13066)。Ln=Pr系についてはX=0.04×n(n=0,1,…,18)の19種の粉末試料を作製し、構造変化などを調べた。以下に実験方法および結果を記述する。 1.電子線回折図形上の超格子反射位置を精密測定した結果、超格子反射の波数qはPr濃度(X)とともにX【similar or equal】0のq【similar or equal】0.42_1b。^*から16の段を経てX【similar or equal】0.72のq【similar or equal】0.47_1b。^*に階段的に増大していく。 2.高分解能電子顕微鏡格子像上のコントラスト変調の解析および電子線回折の強度分布を調べ、(N_<【,>N_<【【>)_<5、>(N_<【,>N_<【【>)_4など表せる長周期変調構造モデルを検証するとともに、以下のことを明らかにした。 (1)(N_<【,>N_<【【>)_5型および(N_<【,>N_<【【>)_4型長周期変調構造はそれぞれX【less than or equal】0.5およびX【greater than or equal】0.5のPr濃度範囲で生成される。 (2)上記のPr濃度範囲X【less than or similar】0.5および半導体相の濃度範 3.長周期変調構造モデルにもとづいて過剰酸素原子位置を考察し、ヨ-ド滴定法により求めた過剰酸素量(δ)のPr濃度変化を説明できた。 上記項目3の内容はPhysica C 185ー189(1991)885に発表され、項目1と2の長周期変調構造に関係した内容はActa Crystallographicaに印刷中である。
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