マルチプルマーカーを使用し、2元系反応拡散に起因し移動している異相界面での原子の動き方を知り、界面で生じる変態現象を明らかにすることが本研究の目的である。 Cu-Zn、Fe-Zn、Au-Pt、Cu-Agの各2元系系について、研究を進めた結果、移動している異相界面で一方の相が他の相を食べて成長する際には、食べられる相の格子面が成長する相側へ個々の原子の変位として移動すると同時に、その場所に空孔が発生あるいは消失する。拡散対内の拡散方向に対してπ/4radの角度になるように、マルチプルマーカーを一列に挿入すると、加熱後にマルチプルマーカーが界面で屈折する。空孔の発生量あるいは消失量が多ければ、屈折が鋭くなる。拡散支配の相変態が界面で生じるには、界面における相互拡散流速、固有拡散流束さらに構成成分のケミカルポテンシャルも不連続であり、ケミカルポテンシャルも不連続性が界面反応(界面における相変態反応)の駆動力になるものと考えられる。過去に論議されてきた反応拡散における界面反応とは、相間の格子面移動と空孔の発生あるいは消失ということで定義され得る。 異相界面で格子面移動が生じることなく、界面で空孔が発生も消失もしなければ、界面反応が進行しないので、相互拡散流速だけが不連続で、固有拡散流束ならびにケミカルポテンシャルが連続となる。筆者はこのような状態を作りだし、カーケンドールマーカーと異相界面とが一致して移動する状況を確認した。固有拡散流束はマーカー固定面を基準座標とする、したがって界面反応が進行しない場合に限って、界面における固有拡散係数の論議が可能である。界面反応のない状態は極めて特殊な例であり、通常は固体/固体界面だけではなく、固体/液体界面および固体/気体界面でも界面反応が存在し、このような界面は熱力学的平衡への拡散支配の過程を促進する役割を持つ。
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