研究概要 |
Tm_2O_3およびYb_2O_3粉末と粉末状に切削したLa金属の混合物を圧粉体とし、これを円筒状タンタル製試料容器中に設置し、真空下で加熱することにより金属熱還元反応を進行させた。反応率は反応後の試料の質量減少量を生成された金属(Tm,Yb)の揮発量と見なし、反応前における被還元物(Tm_2O_2,Yb_2O_3)中の金属元素の質量の比として百分率で表した。次の知見が得られた 1.各酸化物の反応率は、いずれの反応温度においても反応時間に対し放物線的に上昇することが分かった。還元反応はYb_2O_3〉Tm_2O_3の順に良好であり、熱力学的検討を対応した。 2.各温度の反応率と時間の関係は両対数プロットを用いて直線で整理でき、その勾配は約0.5であった。また、還元速度定数を求めることができた。 3.アレニウスプロットはいずれの酸化物の場合も直線であり、得られた見かけの活性化エネルギ-はTm_2O_3では154kJ/mol,Yb_2O_3では243kJ/molであった。両酸化物間の活性化エネルギ-の違いの原因として、Yb_2O_3の還元反応の場合は還元剤であるLaが固相状態であるのに対し、Tm_2O_3の場合は液相状態であるため、反応界面形態の相違によるものであることが推察された。 4.レア・ア-ス酸化物の金属Laによる熱還元機構についてWagner理論に基づく電気化学的還元反応モデルを提案し検討を行った結果、反応の律速段階は還元生成物であるLa_2O_3層を通してのLa^<3+>あるいはO^<2ー>の移動過程であることが推定された。
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