熱フィラメントCVD部とSTM部とを分離し、両者間の基板移動を精密ステージにより行い、ナノメータオーダーでの同一範囲内での一連の堆積過程のsemi in-situ評価/プロセシングが可能な装置を設計・試作した。基板移動にはマイクロメータを利用したステージを使用すると同時に基板支持棒へのインバー合金の使用により熱膨張の影響を抑えることで、ミクロンオーダーでの基板移動制御を可能とした。それと同時に、STM-フィラメント間にシャッターを設置してSTM部への熱的影響を最小限に抑えることにより、装置の作動域を従来のin-situナノプロセシング装置では不可能であったダイヤモンド堆積条件付近まで拡大した。また、ガス雰囲気中・低真空中におけるナノプロセシング用基板としてのHOPG基板使用の可能性を検討した。ダイヤモンドの堆積が確認され、CVD過程初期のナノメーターレベルでの微細構造観察に使用可能なことを確認した。以上の結果を基に、本装置の、ダイヤモンド薄膜合成などへ向けたCH_4-H_2系CVD初期過程のSTMによるsemi in-situ観察への応用を図った。フィラメント温度1500〜2000℃、圧力50Torr、水素希釈のメタン濃度1%、堆積時間10秒の条件による堆積前後のsemi in-situ観察を行った。現状では原子レベルの象はまだ得られていないものの、数nmを解像可能であり、CVD初期過程に適用可能な状態にある。これにより、ダイヤモンドナノグラフォエピタキシーへの応用が期待される。
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