研究概要 |
1.周波数2450MHz,最大出力5KWのマイクロ波電源を利用したステンレス鋼製のプラズマCVD炉を試作し、まず炉特性の評価を行った.アルゴン,水素,窒素,酸素等を導入し,圧力を1〜10Torrに調節してプラズマを発生させ,入力レベルを徐々に上昇させて反射波最小の条件,つまり最も効率よくマイクロ波電力をプラズマに注入できる条件を設定した.しかし電力が入り過ぎると装置の一部が過熱し,特にパッキング部分とプラズマに最も近接する石英板部分が破損する事故が生じ,現在水冷部の付加,一部構造の改変を行っている. 2.プラズマ炉内の高さを自由に調節できる基板ホルダ-上に単結晶シリコンウェ-ハ基板を置き、プラズマ直下における温度上昇を測定した.また六方晶窒化ホウ素製ルツボを基板ホルダ-上に載せてプラズマ直下に設置し、同様にルツボ温度を測定した.さらにこのルツボ内にホウ素粒子を入れ、水素プラズマとの反応状況を検討しているが,入力レベルを1.で述べた理由で抑制したので,温度も500℃以上に上げることができず,装置の改造完了後,高入力レベルでのホウ素・活性水素間の反応を試みる予定である。なお旧板温度については,熱電対による測定値と放射温度計による測定値の両者によい一致が見られた. 3.上記の実験と平行して,手持ちの5KW高周波誘導プラズマを利用し,同じような条件で水素・窒素プラズマを発生させ,ボロンの輸送,窒化ホウ素の堆積実験を行った.ブラズマ入力は十分で温度も上昇し,現在プラズマ尾炎部りシリコ基板上に窒化ホウ素薄膜の堆積が確認された.マイクロ波プラズマとは特性が異なるので,両者の比較により興味深い結果が得られるものと期待される.
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