研究概要 |
1.水平型高周波誘導プラズマ反応器による研究成果 周波数4MHz,最大プレート電力5kwの自励式高周波電源より,水冷二重石英管に巻いた高周波コイルを通して,誘導的にパワーを水素プラズマに投入し,その中に置いたホウ素粒子に水素プラズマを反応させると,プラズマ下流に置いたシリコン基板上にホウ素膜が堆積した。この膜は化学的に非常に活性であった。水素とともに窒素を導入すると,プラズマ下流のシリコン基板上に窒化ホウ素膜が堆積する。条件を適当に選ぶと,sp^3結合を多く含む膜が得られた。 2.垂直型高周波誘導プラズマ反応器による研究成果 水平型反応器による結果を踏まえて,基板位置の調整が容易な垂直型の石英製反応器を試作し,同様にホウ素の輸送による膜の堆積実験を行った。パワーを上げると石英管内壁の水素プラズマによるスパッタリングが烈しくなるので,石英管内に窒化ホウ素管を挿入し,その内部にプラズマを発生させることにより,この現象を防止できた。さらにタングステンフイラメントを基板上部に設置し,これに通電加熱して気体の活性化を図り,基板加熱,基板へのバイアス電圧の印加も併用して,窒化ホウ素膜の堆積に成功したが,sp^3結合の立方晶窒化ホウ素膜の堆積のためには多くの課題が残されている。 3.垂直型マイクロ波プラズマ反応器による研究成果 高周波プラズマよりさらに励起度が高く反応性に富むと期待されるマイクロ波プラズマを,ホウ素の輸送反応に適用しようとした。垂直型反応器を試作し種々テストを行ったが,マイクロ波の反応器への導入部分に溜る熱をうまく逃がす冷却方法が不十分で,そのためプラズマに高パワーを注入できず,期待したような結果が得られていない。今後装置の改良に力を注ぐ予定である。
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