研究課題/領域番号 |
03650557
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
大城 桂作 九州大学, 工学部, 教授 (40038005)
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研究分担者 |
小野 幸徳 九州大学, 工学部, 助手 (10204257)
森 信幸 九州大学, 工学部, 助手 (20108666)
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キーワード | 複合材料 / 鋳造 / 高合金鋳鉄 / セラミックス / 複合化プロセス / ぬれ性 / 界面反応 / 摩耗 |
研究概要 |
高合金鋳鉄の耐摩耗材向上のために複合化するセラミックス繊維としては、高温でも安定で鋳鉄溶湯との反応が少なく、比較的安価なアルミナが適していると考えられた。アルミナの平滑基盤に対する各種合金鋳鉄溶湯の接触角θは105度から125度の範囲にあるが、アルミナ表面の粗さや溶湯の移動速度とともに大きくなり、アルミナ繊維プリフォームの間隙に鋳鉄溶湯を圧入するときのθはほぼ180度になると判断された。このようなぬれ挙動はAl-5.5%Cu合金とほぼ同じであったので、Al合金を溶解し、同一温度に保持したアルミナ短繊維充填体へ圧入したときのセラミックス間隙での溶湯の流れを詳細に研究した。繊維間隙の大きさを実験的に求めた平均水力を中心に20段階に分類してダルシーの式を用いて流れ解析を行い、圧力の上昇とともに溶融金属が水力半径の大きな間隙から順次満たされていく様子を定量的に示すことができた。 次に、アルミナ短繊維プリフォームを1273Kに予熱して金型にセットし、過熱度150Kで種々の合金鋳鉄溶湯を鋳造して圧入した。この実験では圧入途中で凝固が進行するため水力半径が小さくなり、とくに融点の高い高Cr-高V鋳鉄ではかなり多くのポロシティが生じた。凝固は、まずデンドライト状の初晶オーステナイトがアルミナ短繊維の周囲に晶出し、ついで合金鋳鉄の組成に応じてオーステナイト(γ)-VC、γ-(CrFe)7C3、γ-(FeCr)3Cなどの共晶が晶出した。Pin on Disk型の耐アブレージョン摩耗試験を行った結果、デンドライト中に分布したアルミナ短繊維の作用により、耐摩耗性が向上した。得られた試料はかなりのポロシティを含むため、当初予定した強度特性の評価は行えなかった。現在、Al合金の場合と同様に高温に溶解した高合金鋳鉄溶湯をそのまま高温のアルミナプリフォームに圧入する装置を校費等を工面して作製中である。装置が完成すれば、速やかに複合材を作製し、その特性評価を行う。
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