研究概要 |
金属とセラミックスとの接合に関する研究は主に酸化物系および窒化物が多い。本報告ではTiB_2-CoB系、TIB_2-Ti(C,N)系ホウ化物セラミックスと鉄鋼材料との接合実験に焦点を紋って、Ag-Cu系およびCu-Ni-Ti系ろう材に対するCu,Ni,Ti,Zr,Hfなどの金属箔片のインサート金属としての有効性を検討した。得られた結果はTiB_2-Ti(C,N)系セラミックスと高速度鋼との接合ではCu-Ni-Tiろう材では熱応力を緩和できず、Cu箔をインサート金属とすることで約200MPaの強度を得た。また、Cu-TiとAg-Cuろう材にCu箔をインサート金属とすることで接合強度を著しく増加させ、最高230MPaを得た。これはホウ化物系セラミックスにおける接合界面に2相(Ti-Cu相にFe,CoおよびNiの相互固溶相)混在の反応相の形成がEPMA分析で確認され、強度の増加は反応相に起因すると考えられる。つぎに、Ag-Cu系とNi,Ti,Zr,Hf箔をインサート金属として組み合わせたろう材での結果はZr箔以外約100MPaのせん断強度が得られた。とくに、Ti箔を用いた場合約200MPaの強度を得た。接合界面のEPMA分析の結果活性金属が優先的にセラミックス側に拡散し、これらの活性金属と化合物を形成し易いCuと反応してセラミックス界面に存在することで接合強度が増加したものと推定される。また、TiおよびSnを添加したろう材をインサート金属として利用すると低温で接合させることが可能で、せん断強度も100MPa以上の値を得た。なお、当初の稀土類元素添加のインサート金属の接合効果およびその有用性について今後とも継続して明らかにする必要がある。
|