アルミニウム中に含まれる不純物の腐食に及ぼす影響を基礎的に研究した。結果は下記の通りである。 1.FeAl_3金属間化合物のみを優先溶解除去する有効な方法を開発した。硝酸アルミニウム水溶液中で定電位的に繰り返し分極させる方法である。FeAl_3金属間化合物の除去された表面がこの方法で得られた。 2.アルミニウム母地中に電気的に導通している金属間化合物は母地のアノード溶解に対するカソードとしての役割を果たす。それと同時にこの金属間化合物は自己の分極抵抗が小さいが故に自己腐食を起こし溶解する。 3.5000ppm NaCl水中の溶存酸素を1ppbから3ppmまで連続的に変化させたときの5052のアノード分極抵抗値を面積分極法を用いて測定した。この方法は迅速かつ連続的な測定ができるのが特長的である。本実験条件の場合、5052の孔食発生時の溶存酸素の値は900ppb以上であった。 4.面積分極法という新しい電気化学的な測定方法が提案された。面積分極法は簡単ではあるがアノード分極抵抗をモニタリングことによって孔食発生を予測する有効な方法である。 5.0.1M NaCl水溶液中のAl-Zn合金のアノード分極曲線に、約-0.95V vs.Ag/AgClに現れたアノードピーク電流密度の解釈を行った。これはAl-Zn合金中の亜鉛成分が水酸化亜鉛に酸化される現象として説明された。
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