研究概要 |
γ-TiAlの高温クリープを基礎的に理解し,それを耐熱材料設計に発展させることを目的として研究を行い,次のことを明らかにした. 1. γ-TiAlの最小クリープ速度の温度・応力依存性 γ-TiAlの最小クリープ速度は,その温度・応力依存性が異なる3つの領域(高応力H,中応力M,低応力L)に分割される.領域Hでは応力指数n=4,活性化エネルギーQ=350kJ/mol,領域Mではn=8,Q=650kJ/mol,領域Lではn=4,Q=650kJ/molとなる. 2. 各領域の変形機構 領域Hでは,クリープ初期から動的再結晶が観察され,動的再結晶が変形を律速している.領域Mでは,クリープ後期に結晶粒界の張り出しが見られるが,明瞭な動的再結晶は起きない.この領域では,超転位に比べて通常転位の活動が活発で,クリープ初期に多量の通常転位が導入され,それらは方向性を持った特異な形状を示す.この通常転位の可動化が変形を律速している.領域Lでは,動的再結晶は起きず,通常転位も超転位もその密度は領域Mに比べて低い.この領域では,転位の運動自体が変形を律速しているものと考えられる. 3. α-Ti固溶体合金およびα_2-Ti_3Alとの相対強度 γ-TiAlはTi-Al固溶体合金より高強度で,高ひずみ速度(10^<-1>s^<-1>で数倍)に比べて低ひずみ速度(10^<-8>s^<-1>で1桁)ほど変形応力の差が大きい.γ-TiAlはα_2-Ti_3Alと同程度の変形応力を示す.ただしγ-TiAlは,変形応力の組成依存性が大きく,化学量論組成からのずれにともなう強度低下が大きい.
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