研究課題/領域番号 |
03650567
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
金属材料
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
梶谷 剛 東北大学, 金属材料研究所, 助教授 (80134039)
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研究分担者 |
細谷 正一 東北大学, 金属材料研究所, 助手 (30124621)
平賀 けん二 東北大学, 金属材料研究所, 教授 (30005912)
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研究期間 (年度) |
1991 – 1992
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キーワード | 酸化物高温超伝導体 / 単結晶育成 / 浮遊帯溶融法 / 計算機シミュレーション / X線回析 / 中性子回析 |
研究概要 |
赤外線加熱式浮遊帯溶融法にソルベント法を付加したTSFZ法は非調和溶融をする酸化物単結晶を育成する方法として優れた特徴を持つ。我々はこれまで214型超伝導酸化物およびその類縁酸化物単結晶を育成し、X線および中性子単結晶回析実験を行ってきた。これらの物質は比較的単純な結晶構造と、比較的広い初晶領域をもっていることが幸して、TSFZ法により、ある程度の質と大きさをもつ単結晶を得ることができたが、質と組成は実験毎に変わり、再現性のある育成とはいい難かった。この点を改善するためには、結晶成長の全行程にわたって、浮遊帯域の組成を制御する必要のあることが計算機シミュレーションによってわかった。そこで結晶作成プログラムに従って自動的に結晶側と原料供給棒側の送り速度を変えることのできる装置を、従来の単結晶育成装置に付加することによってこれを実現しようとした。すなわち既存の赤外線加熱式浮遊帯溶融炉に本研究補助金によって購入したパーソナルコンピュータで制御されたモーターを取付け、結晶側と原料供給棒側の移動速度を結晶成長の段階に応じて非線型的に変化させ、浮遊帯の化学組成を結晶成長のどの段階においても一定にする試みをおこなった。研究の進展にともない、このアイデアを現実化するためには新たに次の二点に努力の一端を傾ける必要があった。その1は原料棒の焼結密度を可及的に上げることであった。粒度5μ以下の原料粉を調整し最適温度にてこれを焼結し、気孔率を低減させることによって、浮遊帯の液体が原料棒にしみこまないようにすることが必要不可欠であった。その2は、浮遊帯炉の加熱源であるハロゲンランプの形状により照射分布が大幅に変化することが明かとなった事である。計算機によるシミュレーションを行い、急峻な垂直温度勾配が得られるランプ形状を選択した。これらの努力と装置の改善により単結晶の育成の再現性はほぼ90%程度と大幅に改善された。実際にTc~30K、半値巾0.14の6mmφx100mmlのLa_<1.8>Sr_<0.2>CuO_4over dope 単結晶が再現性よく育成された。さらに再現性をあげるためには制御精度に見合う機械的精度が本育成装置に要求されるが、本助成により育成の基本的パラメータを見出すことができた。
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