研究課題/領域番号 |
03650574
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研究機関 | 名古屋工業大学 |
研究代表者 |
土井 稔 名古屋工業大学, 工学部, 助教授 (60135308)
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研究分担者 |
小山 敏幸 名古屋工業大学, 工学部, 助手 (80225599)
小坂井 孝生 名古屋工業大学, 共同研究センター, 助教授 (80110253)
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キーワード | 鉄基合金 / 規則相 / 弾性エネルギー / 弾性相互作用 / 折出物粗大化 / 組織分岐 / 分裂 |
研究概要 |
(1)Fe-Al-GeやFe-Al-VなどFe-Al系規則合金に析出する同じようなDO_3規則粒子でも、格子ミスフィットが異なれば、その粗大化挙動は異なる。この相違を明らかにするため、弾性係数、界面エネルギーおよび格子ミスフィット等、エネルギー計算に必要な定数の妥当性を再検討した後、理論解析を再度行った。その結果、Fe基合金の場合も、弾性相互作用エネルギーと界面エネルギーの兼ね合いが重要であることが明らかとなった。 (2)析出する粒子と母相との格子ミスフィットが大きなFe-Si-VおよびFe-Al-Co合金を新たに溶製し、特に分裂現象に注目して、時効に伴う組織変化を調べた結果、Fe-Si-V合金のDO_3粒子は2個への分裂が、またFe-Al-Co合金のB2粒子は8個への分裂が見られた。 (3)Fe-Si-V合金のDO_3粒子の形状は、分裂直後はアスペクト比0.5の2枚の板であるが、その後の粗大化により両粒子ともにアスペクト比を低下させ、より偏平になる。この形態変化は、マイクロメカニックスに基づくエネルギーの理論計算により、明快に説明することができる。 (4)Fe基規則合金中のDO_3やB2整合粒子は、Ni基合金のγ′整合粒子と同様の粗大化挙動を示す。特に弾性エネルギーの影響下に起きる、分裂を始めとする特異な粗大化挙動がFe基合金においても同様に見られることは、本研究により初めて明らかとなった。 (5)上記の特異な粗大化挙動は、合金型を問わず、弾性拘束系に特有の普遍的なものであることはほぼ間違いない。従って、弾性拘束(弾性エネルギーと界面エネルギーの兼ね合い)の強弱を制御することにより、組織安定性の高い、過時効しにくい2相合金の開発が可能となるものと考えられる。
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