研究概要 |
金属材料に限らず,半導体,セラミックスなども高性能になるにしたがい内部の微細組織,とくに熱力学に準安定状態,あるいは,比較的低温度域における相平衡の制御が重要となってくる.分析電子顕微鏡X線分析およびALCHEMI法を用いて得られた成果は以下の通りである. 1.NiーAlにおける拡散対のAEMによる分析(1)外挿法およびDXA法による吸収補正をパ-ソナルコンピュ-タシステムで処理することによりAlK線が大きく吸収される系においても迅速かつ十分な定量分析が行え,拡散太の濃度プロファイルを決定することができる.(2)1173Kで熱処胤した拡散対において,AEMおよびEPMAで決定した濃度プロファイルと得られた相互拡散係数とは誤差範囲内でよく一致した.(3)NI対Niー8Al合金,Ni対Ni_3Alの拡散対実験により得られたγ相領域での相互拡散係数は互いによく一致し,Alの濃度とともに増加する傾向がある.(4)Ni対Ni_3Al拡散対の濃度ギャップの両端の濃度は従来の平衡状態図中のγ/γ+γ'およびγ+γ'/γ相領域と一致した. 2.Ni_3Al金属間化合物に添加した第3元素の格子占有率(1)電子チャンネリング効果を応用したALCHEMI法により規則相中の添加元素の置換挙動を知ることができる.(2)ALCHEMI法における分析電子顕微は使用状況などにより測定デ-タの変動が考えられるが,パ-ソナルコンピュ-タシステムによりリアルタイムに処理を行うことで適切な対応が可能となる.(3)Ni_3Alに添加したSi,Ta,Tiの置換挙動を調べた結果は,熱力学的方法やX線回折法などにより従来の報告と一致した.(4)ALCHEMI法により従来では困難であった微小領域での添加元素の置換挙動の解析が可能となると予測される.
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