キャピラリ-クロマトグラフィ-では充填カラムと充填剤を使用しない中空カラムの2種類が使用されている。単位長さあたりのカラム性能を高めるためには、充填カラムにおいては充填剤粒子径を小さくすることが、また中空カラムにおいては内径を小さくすることが必要であることが理論的に示されている。ガスクロマトグラフィ-(GC)においては内径0.25〜0.50mmの中空キャピラリ-フュ-ズドシリカカラムが開発され、充填カラムよりも高い分離能が達成されるようになり、無極性なものから極性の高い成分に至るまで広く利用されている。一方、充填カラムは試料負荷量が大きいという利点があるので、高い分離能を必要としないときは現在でもよく用いられている。本研究ではGCにおける中空キャピラリ-カラム及び充填カラムの性能を更に高めるために粒子径5〜30μmの充填剤を詰めたキャピラリ-充填カラム及び内径100μm以下のガラスキャピラリ-カラムの開発を行った。このような高性能キャピラリ-カラムを操作するには一般に高い入口圧力(10〜100気圧)を必要とするため、本研究では高圧で操作できる試料導入法の開発も行った。充填カラムは市販で入手できる液体クロマトグラフィ-(LC)用充填剤(5〜30μm粒子径)を購入し、内径0.1〜0.5mmのフュ-ズドシリカ管にLC用の高圧ポンプを用いてスラリ-充填した。充填剤としてシリカ系、ポリマ-系及びカ-ボンなどについて性能を比較したところシリカ系の充填剤が最もよい結果を与えた。中空キャピラリ-カラムは内径40〜100μmの軟質ガラス管の内壁を40〜60℃でアルカリ処理し、シリカゲル固定相を調製した。内径10μmのカラムで90万段以上の段数が達成され、低沸点炭化水素の分離に応用した。
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