研究概要 |
スチレンーメチルメタクリレ-ト共重合体を試料とし,固定相にシリカゲル,移動相にクロロホルムーエタノ-ル,又は二塩化エチレンーエタノ-ルをそれぞれ用いる液体吸着クロマトグラフィ-により,カラム温度を順次段階的に下げることによる,この共重合体の組成差分離法を検討した。カラムは恒温槽に入れ,カラムに常に一定温度の移動相が流れるように,装置上の工夫を行った。エタノ-ル含有量一定のクロロホルムーエタノ-ル移動相により,共重合体試料を60℃に一定としたカラムに注入し,ポリマ-の大部分を吸着させる。ついでカラム温度を5℃ごとに段階的に下げ,カラムからの溶出液を捕集する。各捕集物をKBγ板上におき,溶媒を蒸発させてフイルムを作成し,赤外吸収スペクトルを測定してその組成を求める。この結果,カラム温度を下げることにより,メタクリレ-ト成分の多い部分が溶出してくることが認められた。 つぎに,移動相を二塩化エチレンーエタノ-ルとし,カラム出口に紫外吸収検出器2台を装着し,一方の波長を230nm,他方を254nmに設定し,この2つの波長におけるカラム溶出液の紫外吸収強度を同時に測定するシステムを設計した。初期カラム温度を60℃とし,カラム温度を5℃ごとに段階的に下げ,それぞれの温度におけるカラム溶出物の組成を分取することなく求めることができた。その結果,移動相にクロロホルムを用いた場合と同様,カラム温度の低下とともにメタクリレ-トの多い成分が溶出してくることが分り,本法により,スチレンーメチルメタクリレ-ト共重合体の組成差分離ができることが明らかになった。
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