研究課題/領域番号 |
03650616
|
研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
矢野 豊彦 東京工業大学, 原子炉工学研究所, 助教授 (80158039)
|
研究分担者 |
宮崎 広行 東京工業大学, 工学部, 助手 (30239389)
井関 孝善 東京工業大学, 工学部, 教授 (10016818)
|
キーワード | セラミックス / 中性子照射 / 点欠陥 / 転位 / 機械的性質 / 炭化ケイ素 / 窒化アルミニウム / スピネル |
研究概要 |
AlNセラミックスを高速中性子照射した試料の微構造解析から、AlNに導入される欠陥は2種あり、低照射量では点欠陥(フレンケル欠陥)が生成し、〜1x10^<24>n/m^2以上では、点欠陥に加え転位ループが形成されると考えられた(照射温度〜500℃)。照射後のビッカース硬度及び破壊靭性の値は、点欠陥の生成により約30%増加し、転位ループを形成した試料ではさらに増加した。ヤング率及び曲げ強度に及ぼす照射効果はほとんど無かった。これらの試料を真空中で1400℃まで等時アニールをしたところ、ビッカース硬度は巨視的長さの回復とほぼ平行して回復したことから、硬度は主として試料内に存在する点欠陥の量に比例していると考えられた。硬度減少に伴い、破壊靭性も減少した。さらに中性子照射量を増加させた試料では、転位ループによる異方的スエリングに起因する粒界の微小クラックにより、曲げ強度は著しく低下した。 SiCの場合、1x10^<26>n/m^2程度までは、主に点欠陥(フレンケル欠陥)が形成され、それ以上の照射で点欠陥に加え転位ループが形成されることが推定された(照射温度〜500℃)。主に点欠陥を含有するSiCについてビッカース硬度の変化を調べたところ、ビッカース硬度は昇温に伴い徐々に回復した。この変化は、同時に測定した長さの回復とほぼ平行して起ったことより、SiCにおいても、硬さの増加に主に寄与している欠陥種は点欠陥であると結論された。 非化学量論組成のMgーAlスピネルを高速中性子照射して、生成した欠陥種とそれが試料の機械的性質に及ぼす影響を検討した。主に点欠陥が存在すると考えられる試料では、ビッカース硬度の変化は長さ変化にほぼ対応して回復した。一方、低密度の転位ループが形成されていた試料では硬さの増加はほとんど認められなかったことより、スピネルの硬さ増加に寄与している欠陥種は主に点欠陥であると考えられた。
|