Er^<3+>による〔赤外→可視〕変換蛍光(アップコンバ-ジョン)の高効率機能材を開発することを目的として、21.5MF・21.5LiF・52.5ZrF_4・5.0ErF_3(M:アルカリ金属)組成、5MF_2・25BaF_2・65ZrF_4・5ErF_3(M':アルカリ土類金属)組成、χZrF_4・(95ーχ)BaF_2・5ErF_3組成のガラスを作製し、800nm光励起によるEr^<3+>の〔赤外→可視〕変換特性やEr→Eu置換ガラスの蛍光持性を測定し、アルカリフッ化物種およびアルカリ土類フッ化物種の依存性を明らかにした。 得られた結果は以下のようである。 (1)フッ化アルカリあるいはフッ化アルカリ土類をガラス網目修飾成分とするフッ化ジルコニウム素ガラスでは、アップコンバ-ジョン蛍光の発光強度はガラス網目修飾成分に依存することがわかった。●ガラス網目修飾成分としてフッ化アルカリを用いた場合、全ての発光準位においてLiF→NaF→KFと発光強度は強くなり、その後、KF→RbF→CsFと発光強度は弱くなった。●フッ化アルカリ土類を用いた場合、全ての発光準位でMgFの発光強度が最強となり、CaF→SrF→BaFと発光強度は減少した。●xZrF_4・(95ーχ)BaF_2・5ErF_3ガラスにおいては、χ=55、65、75と変化させるとχの値の増加にともなって、410nm付近と550nm付近の発光強度は増加するが、660nm付近の発光強度は減少した。 (2)フッ化アルカリ素ガラス、フッ化アルカリ土類系ガラスにおいては、アップコンバ-ジョン蛍光の発光強度とガラス中のEr^<3+>の周りのF配位子場の対称性との間には大きな相関があった。 (3)フォノンサイドバンドスペクトルから見積ったフォノンエネルギ-の大きさにはガラスの組成依存性はみられなかった。
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