研究課題/領域番号 |
03650629
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
小林 和夫 長崎大学, 工学部, 教授 (30225495)
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研究分担者 |
高尾 雄二 長崎大学, 工学部, 助手 (20206709)
内山 休男 長崎大学, 工学部, 助教授 (50039690)
江頭 誠 長崎大学, 工学部, 教授 (60037934)
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キーワード | ホウ素固溶 / 炭素繊維 / C / C複合材料 / 酸化 |
研究概要 |
初年度に得られた知見をもとに、耐酸化性機能付与に効果的と判断されたホウ素を炭素繊維あるいはC/C複合材に拡散固溶させることにより材料の改質を試みた。試料として、ラジアル構造とオニオン構造のピッチ系炭素繊維2種およびランダム構造のPAN系炭素繊維1種、およびPAN係フェルト状炭素繊維に熱硬化性樹脂とピッチを含浸させて、2000℃で熱処理したC/C複合材を用いた。ホウ素の固溶は、B_2O_3あるいはB_4C粉末で試料を覆い、その後処理する方法、また、金属ホウ素を蒸着し、その後熱処理する方法を行った。熱処理によりホウ素を固溶させた試料については、電気炉および熱天秤により酸化実験を行い、酸化に伴う重量変化測定、X線回折におる炭素層面間隔および結晶子の大きさの変化測定、SEN観察による組織変化観察を行い、酸化前のそれらと比較してホウ素の固溶が酸化挙動に及ぼす影響を調べた。ホウ素固溶炭素繊維の酸化実験の結果、いずれの炭素繊維もホウ素の固溶に伴って、d(002)の減少およびLc(002)の増加が顕著に起こり、耐酸化性も向上することが判明した。耐酸化向上の機構として、ピッチ系炭素繊維ではホウ素拡散に伴う黒鉛化の促進、活性な炭素層エッジ部分の不活性化およびB_2O_3の生成が推定された。PAN系炭素繊維では、d(002)の変化にあまり関係なく耐酸化性が改善されることが判明した。また、C/C複合材料にホウ素を拡散させた試料の酸化実験の結果、SEM観察によりホウ素拡散試料の方が酸化の進行が遅く、同じ酸化温度でも組織が多く残ることが判った。また、酸化による重量減少曲線から2500℃熱処理試料では酸化開始温度が100℃前後高温側にシフトし、耐酸化性が改善されることが判明した。
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