研究概要 |
カルシウム化合物はわが国で資源的に恵まれている石灰石を出発物質として,一般に大量生産型の産業を構成している。しかし,カルシウム化合物のうちのセッコウ,水酸化カルシウム,炭酸カルシウム,リン酸カルシウムは適度な溶解度をもち,水溶液から適当な条件で析出させることにより結晶形態の制御が容易である。このような特性を生かし,材料形態をいろいろ変えることにより,新しい機能が見いだされるし,新しい工業材料としての変更が期待される。セメント,石灰石,セッコウを中心のカルシウム化合物に関しては申請者は長年の蓄積があり,すでに炭酸カルシウムの非晶質化,炭酸カルシウムの六角板状化,セッコウの繊維状化などを継続研究中であり,これらの研究はファイン化がおくれているセッコウ,石灰石,セメント工業の製品の高純度化に寄化するものと確信している。とくに,本年度は,炭酸カルシウムを六角板状化でき,これはカオリナイト系粘土鉱物の代替材料として注目される。すなわち,六角板状炭酸カルシウムは石灰石に炭酸ガスを吹き込み,炭酸水素カルシウム溶液とし,これにアンモニア水を所定量添加し,加熱することによって合成することができた。なお,この純度は99.7%であり,新しい機能性無機フィラ-としての用途の開拓も期待される。なお,この研究は現在,学会誌に投稿中である。 さらに,非晶質炭酸カルシウムの合成についても実験を継続中であり,平成4年度中にはこの成果を学会発表の予定である。
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