研究概要 |
1)合成法関係 大きな結晶軸配向性を有する透明酸化亜鉛の最適合成法を確立しつつある.最も有効な方法として基板回転法が挙げられた.この方法を使うことにより従来法ではどうしても消すことができなかった(104)面からのX線反射ピ-クを消すことができ,ほぼ完全なC軸配向体を得ることに成功した.また炉壁に基板が着くことがないため,均質で大型の結晶(12mmφ×5mm)を得ることができるようになった. 2)基本物性関係 圧電体としての特性を評価するために絶縁体化を図った.得られたままの試料は金属電導性を示すほどの高電導体であるが,これにLi_2Oを熱拡散法添加することにより1GΩcm以上の高抵抗体とすること事ができた.この高抵抗試料についてインピ-ダンス測定より圧電性を評価した.その結果,機械電気結合係数は配向性に依存し,高配向試料において高い結合係数を得た.現在ほぼ結晶における報告値に匹敵するものが得られている.一方,現状の大きな問題点としてLi_2O分布の不均一が挙げられる.これは試料内における抵抗値,誘電率の不均一に通じ,今後一番に解決すべき課題として考えている. 3)接合体の作成 本合成法により作成した酸化亜鉛が基板に対して垂直にC軸が成長する特性を利用して,酸化亜鉛接合体を作成し,接合界面の電気的性質を評価した.作成した試料はC〓C界面とC〓C界面である.常識的な予測としては,原子配列が連続していないC〓Cにおいて抵抗性が発現すると考えられてたが,結果としてはC〓Cにおいて高抵抗層が観測された.圧電的効果(C軸が分極軸),酸化程度の違いが考えられるが,結論には至っていない.
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