1.R=OC_8H_<17>およびR=OC_<12>H_<25>を側鎖に有するヘキサキス((4-アルコキシ)フェノキシ)シクロトリホスファゼン(PNR_2)を合成し、その液晶性と相転移についてDSC測定及び偏光顕微鏡観察により検討した結果、前者においては333K、後者においては334Kに結晶相から液晶相への相転移を見出したのみで、液晶相の存在は見られなかった。これは側鎮のアルコキシフェノキシ基の長軸方向の長さが短く、液晶相の存在に必要な層形成を実現することが困難であるためと考えられる。 2.R=OC_6H_4C_6H_4OC_8H_<17>のヘキサキス(4-オクトキシ-バイフェノキシ)シクロトリホスファゼン(PNR_2)を合成し、そのDSC測定及び偏光顕微鏡観察を行った結果、440と457Kの間にエナンチオトロピックのスメクティックC相を見出した。粉末X線の温度変化測定を行った結果、Sc相において2θ=4.1°に新しい強いピークがあらわれた。この相間隔は約37A^^○に相当する。AllcockらのR=OC_6H_4のシクロトリホスファゼンの結晶構造をもとにして、すべてトランスでオクトキシ基(OC_7H_<18>)を挿入して(PNR_2)_3(R=OC_6H_4C_6H_4OC_8H_<17>)の分子構造のモデルを作成した。その結果このシクロトリホスファゼンの全長は約40A^^○となり、X線で求めた層構造を出現するために分子長軸がスメクティクC相の層の法線からわずかに傾いており、この長大な分子が層の法線に垂直方向に自由に動き液晶であるSc相を形成すると考えられる。以上シクロトリホスファゼン液晶のモデルを作成した。 3.R=OC_6H_4C_6H_4OC_8H_<17>のシクロトリホスファゼンを用いてインジウム-スズ酸化物を透明電極としポリイミドを配向剤として塗布しラビングした水平配向セルに交流を印加しその誘電率を測定した。その結果100Hzにおいて約10程度であった。
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