本研究は、申請当初の計画通り順調に進行し、一応目的は達成されたものと考える。 Y型合成ゼオライトを銅イオンおよびパラジウムイオンで交換した触媒に関して、還元一酸化処理により、触媒活性中心の生成を、各種物理化学的方法により確認し、さらに、その活性種がCuOおよびPdOのような酸化物のリラスタであることを解明した。これらの成果は国内外のいくつかの学術誌に発表した。 このように、当初の目的が達成されたとの判断の上に立って、本年度の後半以降は、申請計画以外の新たな計画に基ずき、上記活性化ゼオライトの実用触媒としての可能性を検討する実験を開始した。 (1)炭化水素による窒素酸化物除去。 この反応は従来酸素共存下で行なわれているが、活性化PdYゼオライトを用いたところ、酸素不在下でも、NOを殆ど完全にN_2に還元されることが見出されたので、現在、反応条件の影響について系統的に検討している。 (2)メタンの低温酸化反応による合成ガスの製造。 活性化ゼオライトCuYおよびPdYを用いて、希薄酸素中でメタンの酸化反応を検討したところ、合成ガスが低温で高収率で得られたので、現在、速度論的にその反応機構を検討している。 反省点;分析装置の作製(ケミルミ)故障(マススペクトル)等のトラブルにより、予想以上の時間を浪費し、研究の進行が遅れている。
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