研究概要 |
石炭の高圧水素化分解反応生成オイルは複雑な成分の混合物であり、HPLCーGC/MS法によつて化合物タイプ(Z数:CnH_<2n+z>)の分子量分布(化合物タイプ分子イオンスペクトル)として解析を行なって来た。本研究では、各化合物タイプの側鎖アルキル基炭素数毎の異性体をGCの保持時間(Scann No)で区別することにより、同族体系列のZマスクロマトグラムとして表示、解析する方法を検討した。 イリノイNo.6炭のピリジン可溶ーベンゼン不溶分の高圧水素化分解反応を行ない、オイル分を得た。これをアミンカラムのHPLCに注入し、飽和炭化水素(FrーP)、ー環芳香族成分(M)、二環芳香族成分(D1,D2)、三・四環芳香族成分(T)、極性成分(PP)に分離、分取した。この内、FrーM,D1,D2、Tについて低電圧イオン化法のGCーMS分析を行ない、化合物タイプ分子イオンベクトルを解析し、且っ各化合物タイプ同族体毎のZマスクロマトグラムとして表示した。これより全イオンクロマトグラム(TIC:GCのガスクロマトグラムに担当)の複雑な混合成分を、各化合物タイプ(FrーM:Z=ー8(テトラリン類)、Z=ー10(ジナフテノベンゼン類)…)毎にスペクトル的に分類し、同じ化合物タイプに属する各成分の分布を明らかにした。各化合物タイプはナフテン環数の増加によって、この同族体の分布は保持時間の長い方(高いScann No.)に順次移動している。 更に各化合物タイプについて、アルキル基炭素数毎の異性体によるクロマトグラム(マスクロマトグラム)として表わした。例えばZ=ー8のテトラリン又はインダン母核環のC_2ーC_9アルキル同族体の分布を見ると、アルキル基炭素数がこの順に次第に高保持時間側に移動している。他の化合物タイプ同族体についても、同様な現象である。以上、化合物タイプ同族体の分布による解析によって詳細な構成成分の知見を得た。
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