研究概要 |
我々は先に右の構造を有するポリン-ルポリマーを開発した(Macromolecules,1985,18,846)。これはペンダント基として反応性の高いヒドロキシメチル基を有するので、この基を他の基に変換することによって、色々な方面に応用できる材料が得られる。平成3年度においてはこのポリマーの官能基変換と その応用について報告した。応用としては2つを紹介した。1つは無水マレイン酸でアセチル化し、スチレンで架橋させてゴム弾性を持つ材料を得たことと、2つ目はシリカ表面の保護である。 平成4年度ではシリカの保護剤としての応用をさらに検討した。前回の研究での難点は、開発したカップリング剤をシリカ表面に結合させるのに、長時間を要したことである。その最大の理由は、基本となるポリマーにあると考えた。そこでポリマーの溶媒への溶解性は、分子量により異なることを利用して、ポリマーを高分子量(約20000)、中程度の分子量(約6000)、低分子量(約4000)に分割し、それぞれからカップリング剤を合成し、シリカとカップリングを行ったところ、再分散性の発現に今まで十時間以上を要していたのに、1時間以内に短縮することが出来た。しかもシリカへの結合形態はトレインかループ型である。 今後我々の開発したカップリング材料(主鎖が疎水性)と、良く用いられるポリエチレングリコール(親水性でかつテール型となる)の両タイプのカップリング剤でシリカを保護したときの違いを検討する予定である。
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