研究概要 |
1(1)重貭残油や石炭液化油などの水素化分解(アップグレ-ディング)触媒であるCoーMoーAl_2O_3やNiーMoーAl_2O_3などの第2金属種Co,Niの有機錯体(例えばCoーフタロシアニン)を用いると調製触媒の予備硫化の際に硫化が抑制され,水素化能が維持される。この結果を発展させ第1金属種であるMoの含硫黄有機錯体を出発原料とすると予備硫化をほどこさずに水素化能を維持できることを明らかにした。 (2)つぎに水素化分解触媒の一方の基本機能である分解活性を賦与するため,シリカ・アルミナおよびそれらにY型ゼオライトを添加した担体を用い含硫黄有機Mo錯体触媒を調製した。反応に用いた結果,原料の有機錯体構造中のNやP原子により触媒の酸性が左右され,それに従って水素化分解活性も変化する。高い分解活性に対応する担体の細孔性分布に最適範囲がある。また,予備硫化を行なわなくても水素化分解活性は保持されることなどが明らかになった('91,'92日化第61,62回春季年会発表)。平成4年度は(1)の水素化能と(2)の分解能の組合せによる各種のオイルに対応した最適の水素化分解触媒の検討を行う予定である。 2.実際の油種に哲用する場合の助触媒効果の検討を行ないルテニウムが優れていることを,触媒の表面解析および触媒化合物の熱力学的相図の面より明らかにした。同時にこれら触媒の活性低下が,油中に含まれるフェノ-ルやベンゾフランなどの含酸素化合物によることも明らかにした。 3.共同研究の小泊らは,固体表面上の金属錯体触媒を液様有機合成反応に応用し,種々の立体選択的合成が温和な条件下で進行することを見い出した。
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