研究課題/領域番号 |
03650687
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研究機関 | 工学院大学 |
研究代表者 |
佐藤 光史 工学院大学, 工学部, 講師 (10154105)
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研究分担者 |
矢野 重信 奈良女子大学, 理学部, 教授 (60011186)
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キーワード | コバルト(III)錯体 / EDTA型配位子 / 鉄錯体 / 単核錯体 / 複核錯体 / 界面活性 / 化学修飾 / X線結晶構造解析 |
研究概要 |
金属錯体の材料化を目的として、非配位性の水酸基を有するEDTA型錯体の設計・合成と化学修飾等についてアニオン性のコバルト(III)錯体を中心に研究を実施した。すでに錯体に対する芳香族および脂肪族カルボン酸無水物系との反応については基本的な化学修飾法を確立し、両系の代表的な化合物についてX線結晶構造解析を実施して構造を解明した(投稿予定)。これら錯体の分離材料化のために光学活性錯体の重合反応について本格的に検討する計画である。また長鎖脂肪族錯体については、バルクな金属錯体がアニオン性の親水基となった新規な界面活性剤としての機能を持つことが判明し、材料化にむけた本研究年度における大きな成果である。現在、臨界ミセル濃度の測定を検討しているが、金属錯体を含む界面活性剤は全く新規なもので、今後膜の形成やその電子移動反応などの検討も行い、新材料としての探索する計画である。またコバルト系と同様なEDTA型配位子の鉄(III)錯体系についても検討を行っている。この系はコバルト(III)錯体が単核であるのに対し、非配位性の水酸基の酸素が架橋配位原子となり、1分子中に鉄イオン2こを含む複核系である。この複核系でも、さらに錯体に対する化学修飾を可能とするため、EDTA型配位子の他に非配位性の官能基を有する芳香族カルボン酸を共存させて合成した。新たに合成した錯体について今年度結晶構造解析を実施したところ、芳香族カルボン酸のカルボキシル基も2この鉄イオンを架橋し、芳香族性の非配位性官能基がさらなる化学修飾を受け得ることが判明したので、現在検討を行っている。本補助金で購入した高速液体クロマトグラフ装置は、有機化合物の分離同定に活用している。なお本装置は、錯体を高分子量化して合成する分離材料の機能評価にも利用する予定である。また基本的な装置であるpHメ-タは、錯体の合成などに頻用している。
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