研究概要 |
近年カルボン酸セレン及びテルル同族体に脳神経ブロック剤としての有効性さらには液晶性能も見い出され注目を集めている。本研究では含テルル有機分子,特にテルロカルボン酸誘導体の最も基本的かつ重要な出発化合物となるセレノカルボン酸ナトリウム塩及びカリウム塩の合成法の確立とそれからの反応性を明らかにすることを目的とした。 結果:液体アンモニア中金属ナトリウムとテルルとから調製したテルル化ナトリウムにエ-テル中当モルのアシルクロリドを加え,O℃で2時間反応させることにより目的のテルロカルボン酸ナトリウム塩が高収率で合成できることを見い出した。また同様にテルル化カリウムとの反応からは対応するテルロカルボン酸カリウム塩が高収率で合成できることを見い出した。これらナトリウム及びカリウム塩を系統的に合成し,スペクトルを明らかにした。特にIRスペクトル及びテルル125核磁気共鳴スペクトルからこれらの塩はテルルに陰電荷が極存化した構造をしているものと推測された。 これまで合成例のないテルロカルボン酸Teーアルキルエステルの合成法を確立し,それらのスペクトルを明らかにできた。 また,テルロカルボン酸ナトリウム塩はトリオルガノシリルクロリドと反応しOートリオルガノシリル テルロカルボキシレ-ト(RCTeOSiR^1_3)が成することを見い出した。Teー125NMRの測定から上記テロンエステルはTeートリオルガノシリル テルロカルボキシレ-ト(RCOTeSiR^1_3)と平衡にあると見られた。 アシルクロリドとリチウムテルリドとの反応からはテルロカルボン酸リチウム塩が生成するが、これら塩はTHFを1分子含み結晶化はむつかしいとみられた。
|