一定な条件下での感光層の作成及び現像処理が可能となったことにより、再現性のあるホログラム作成条件が確立した。そのために、組成などの変化に対応するホログラム特性の評価が安定してできるようになった。 分子特性の異なるポリビニルカルバゾ-ルをバインダ-ポリマ-として用いた光重合型ホログラム記録材料において、分子量の増加は感度及び回折効率の増加をもたらすが、同時に白化現象が増加した。ガラス転移温度を下げるような分子構造にすることで白化は低下するが、同時にホログラム特性も低下してしまうことが明らかになった。電子顕微鏡観察などの結果から、現在の膨潤収縮過程を利用した現像方式の場合、ポリビニルカルバゾ-ルを用いては、白化を無くすことが困難であることが分かった。 幅広くバインダ-ポリマ-を検討した結果、スチレンマレイン酸アルキルエステル共重合体を用いたとき、白化の無い明るいホログラムが得られることが明らかになった。光重合開始剤については、有機過酸化物とケトクマリン系色素との複合系を用いることによりアルゴンレ-ザ-光(488nm)に対して数mJ/cm^2以下と高い感度が得られ、回折効率も90%以上の明るい体積位相ホログラムを得ることができた(1990年応用物理学会にて発表)。現像処理中に感光層中の未反応のモノマ-が現像液中に溶け出すために、ホログラムの回折波長が記録波長よりも短波長になることが明らかになった。 今後は、定量化のための回折効率側定装置の作製と、それを用いたホログラム特性の評価を行う。現像処理方法の検討を行う。新規な増感色素を検討することによりHeーNeレ-ザ-光(633nm)に感光するホログラム材料を見いだす。表面ホログラム記録材料としての評価を行う。
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